診療支援
治療

爪囲炎
Paronychia
齋藤 昌孝
(慶應義塾大学専任講師)

病態

 爪囲炎は,爪甲周囲の皮膚(爪郭)の感染症であり,経過や臨床像から急性と慢性の2つのタイプに分けられる.日常生活において,特に手の指先の皮膚は,さまざまな外的因子にさらされることから,外傷や接触皮膚炎などが生じやすく,皮膚のバリア機能の破綻を招くことで,局所での感染症が起こりやすい.急性爪囲炎は,細菌感染によって生じる化膿性炎症である.一方慢性爪囲炎の病態はやや複雑であり,主としてカンジダによる感染症としての側面のほかに,洗剤などの生活環境のなかで曝露される物質による接触皮膚炎が基本的な病態であるとする意見も多い.


診断

1.急性爪囲炎

 爪郭に生じたささくれ(さかむけ)をむいたり,甘皮(爪上皮)をいじったり,あるいは爪を噛んだりするなどした数日後に,指先の強い痛みを伴って,爪郭が発赤腫脹して発症することが多い.膿瘍を形成した場合には,爪郭の皮膚の一部が白色調に透見し,しばしば波動を触れる.

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