病態
口唇に生じた炎症により,発赤,落屑や痂皮,亀裂,びらんが生じる.病態や発症機序により,検査の必要性や治療方法を検討する.
診断
原因や臨床像,組織学的所見により分類される.口唇に症状を生じる扁平苔癬,口唇癌,口唇ヘルペスの鑑別を念頭におく.
1.接触性口唇炎
刺激性またはアレルギー性接触皮膚炎による.口唇にアレルギー性皮膚炎を生じる原因には,リップスティック,外用薬,箸や楽器,歯磨き粉,食品などが挙げられる.一見,湿疹病変であっても食物などによる即時型アレルギーを繰り返している場合もある.
2.剝脱性口唇炎
口唇のターンオーバーが過剰になることにより生じる.口唇に黄色の痂皮が付着する(図32-1)図.外的刺激や自傷が原因になりうる.
3.アトピー性口唇炎
アトピー性皮膚炎ではバリア機能の低下により,口唇も外的刺激を受けやすい.
4.カンジダ性口唇炎
口唇に白苔やびらん,鱗屑などが生じる.時に痛みを訴える.免疫抑制薬やステロイドの全身投与を要する基礎疾患を有する患者や,接触性口唇炎において原因を除かずにステロイド外用を継続することにより,カンジダ性口唇炎を続発する.
5.肉芽腫性口唇炎
口唇が持続性に腫脹し,組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を呈することを特徴とする.病因としては,病巣感染(歯性病巣・扁桃病巣),アレルギー(金属・食物),遺伝的素因や循環障害などが考えられる.
6.光線過敏性口唇炎
上口唇に比して下口唇に難治性の皮膚炎を生じる.
【検査】①真菌検鏡:カンジダ性口唇炎を疑う場合は,患部より採取した鱗屑を用いたKOH直接鏡検法で菌要素を確認する.②パッチテスト,プリックテスト,特異的IgEの測定:接触性口唇炎や肉芽腫性口唇炎で,原因の推測が難しい場合に実施する.③光線過敏テスト:光線過敏性口唇炎を疑う際に実施する.④皮膚生検:肉芽腫性口唇炎や,口唇炎との鑑別を要する扁平苔癬
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