病態
扁平苔癬は,慢性に経過する角化異常を伴う炎症性皮膚疾患の1つである.もともと口腔粘膜部も好発部位であるが,本症例のように,口腔粘膜に病変が限局するものも多い(口腔扁平苔癬).口腔粘膜病変の特徴的な所見は,乳白色の細い線条である.乳白色線状は細かい網の目状ないしレース状の病変となることが多い.また,しばしば難治性の潰瘍を形成する(図32-3)図.
診断
診断は特徴的な臨床所見と病理組織所見によりなされる.病理組織学的には,苔癬型反応がみられることが重要であり,それは表皮向性に浸潤するリンパ球による表皮基底層の障害が基本となる.表皮向性浸潤程度はさまざまであるが,典型的には表皮直下の帯状のリンパ球浸潤として認められる.表皮の変性は,液状変性,組織学的色素失調などとして観察される.コロイド小体(Civatte body)もしばしばみられる.表皮顆粒層は肥厚し,表皮全体の構造としては,時に「鋸
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