診療支援
治療

口腔粘膜粘液囊腫
Mucous cyst of the oral mucosa
石塚 洋典
(大阪大学講師)

病態

 口腔粘液囊腫(mucous cystあるいはmucocele)は,皮膚科や口腔・頭頸部外科の臨床で頻繁に遭遇する疾患である.口腔底に生じた場合はガマ腫(ranula)ともよばれる.

【頻度】あらゆる年代に発症するが,20~30歳代の若年層に好発する.

【病因・発症機序】唾液腺は,主として漿液を分泌する大唾液腺(耳下腺や顎下腺など)と,導管開口部付近に存在し主として粘液を分泌する小唾液腺(口唇腺や頰腺など)とに分類される.好発部位は下口唇であり,口腔底や上口唇,舌にも生じうる.組織学的には上皮細胞による内腔の縁取りがない偽囊腫の像を呈する.発症因子として外傷と唾液腺管の閉塞が想定されている.病理組織学的には,組織球・線維芽細胞や小血管からなる肉芽組織が,貯留するムチンを取り囲むように存在する.唾液腺管の外傷による間質へのムチン漏出に続く組織反応の程度によって,ムチン貯留が透見されたり(

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