診療支援
治療

糖尿病と皮膚病変
Cutaneous manifestations in diabetes mellitus
中西 健史
(明治国際医療大学教授)

病態

 糖尿病は合併症が最も問題になる疾患で,糖尿病腎症,神経障害,網膜症は三大合併症として有名である.皮膚病変は代謝障害,血管障害,神経障害,易感染性などを背景としてさまざまなものがみられる.糖尿病に伴う皮膚病変の基本的な考え方として,すぐに治療を必要とするかどうかで2つに分類すると理解しやすい.すなわち,前者は糖尿病を発見するきっかけとなる,いわゆるデルマドロームとしての皮膚病変であり,後者は治療しないと重篤になる「待てない病変」といえる.

 糖尿病のデルマドロームには糖尿病性浮腫性硬化症,汎発型環状肉芽腫,穿孔性皮膚症,リポイド類壊死,黄色腫症,Dupuytren拘縮,澄明細胞汗管腫,黒色表皮腫,色素性痒疹,手指の線維化など,主に代謝障害で生じるものが知られている.最も大切なのはそれらの皮疹が糖尿病患者に比較的高頻度にみられるだけで,糖尿病を合併していない患者にも発生することである.わが

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