病態
肝疾患に関連する皮膚症状の多くは,肝臓での代謝異常や解毒・排泄機能障害により,代謝産物の欠乏や中間代謝産物,分解・分泌産物の蓄積や血中濃度上昇を反映する.肝疾患の原因が,肝炎ウイルスの場合は,ウイルスに対する免疫反応による皮膚症状が出現する.
【頻度・病因・発症機序】皮膚症状として頻度が高いものは,急性肝障害診断に重要な黄疸であり,慢性肝障害,特に肝硬変では,エストロゲン不活化障害による,手掌紅斑,紙幣状皮膚,クモ状血管腫,女性化乳房,性毛減少である.胆汁うっ滞では皮膚瘙痒症が起こりやすい.さらに頻度はまれだが,特徴的な臨床像を呈するものとして,蛋白代謝異常による晩発性皮膚ポルフィリン症,脂質代謝異常による黄色腫症,カロチン代謝異常による柑皮症,鉄代謝異常によるヘモクロマトーシスなどがある.また,肝炎ウイルス感染による皮膚症状としては,慢性蕁麻疹,扁平苔癬,慢性多形痒疹,粘液水腫性苔癬,血管炎,Gianotti病などがある.しかし,B型肝炎ウイルスワクチンの乳児定期接種,B型・C型肝炎ウイルス治療薬の進歩により,今後その頻度は減少すると思われる.
診断
①黄疸:血中ビリルビンが2mg/dL以上で皮膚は黄染されるが,日本人の皮膚は黄色なので目立たず,7mg/dL以上で明らかとなる.しかし,眼球結膜は白いうえに,眼球強膜はビリルビンが沈着しやすい弾性線維が豊富に存在し,初期においても黄疸はこの部位で明らかとなる.黄疸の診断には,眼球結膜の黄染を確認することが重要である.皮膚の黄染で鑑別となるのは,柑皮症とびまん性扁平黄色腫であるが,両者とも眼球結膜は白い.②手掌紅斑,クモ状血管腫,紙幣状皮膚:これらの毛細血管拡張症は,肝臓におけるエストロゲン不活化障害とエストラジオール値/テストステロン値比の上昇が原因とされる.慢性肝炎や肝硬変,特にアルコール性肝障害で頻度が高いが,妊娠,甲状
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