病態
血液疾患を含む全身疾患に伴ってさまざまな皮膚症状が現れることはよく知られており,皮膚病変を適切に診断することは内科疾患の診断の手がかりとなりうる.
【病因・発症機序】血液疾患に伴う皮膚病変をその病因から考えた場合,①末梢血検査で確認される貧血,血小板減少などを含む血液異常を反映した皮疹,②白血病や悪性リンパ腫などの悪性血液疾患そのものの皮膚浸潤による特異疹(図33-6)図や,③細胞性免疫能,皮膚を構成する細胞の代謝,サイトカイン環境などの異常を背景として生じる皮膚症状で,白血病やリンパ腫の存在を疑う契機となる非特異疹などが挙げられる.
【鑑別診断で想起すべき疾患】血液疾患の種類によって皮膚症状を伴う頻度には大きな差がある.日常診療で接する頻度としては,貧血や,血液異常による紫斑,および造血器腫瘍による皮疹が多く,それぞれの皮膚症状に対してさまざまな鑑別疾患が挙げられる.
1.紅斑・紅皮症
Sweet病,壊疽性膿皮症,Behçet病,結節性紅斑,紅皮症をきたす疾患など.
2.紫斑
アナフィラクトイド紫斑,皮膚血管炎,播種性血管内凝固症候群,老人性紫斑,ステロイド紫斑,高γグロブリン血症,クリオグロブリン血症,外傷性紫斑,慢性色素性紫斑,単純性紫斑など.
3.結節や潰瘍
皮膚悪性腫瘍,抗酸菌感染症,深在性真菌感染症,サルコイドーシスなど.
4.その他
薬疹,ウイルス発疹症,自己免疫性水疱症,全身性エリテマトーデス・強皮症などの膠原病,閉塞性動脈硬化症,老人性血管腫など.
診断
【問診,理学的所見】①発熱や全身倦怠感,食欲不振などの全身症状とともに,皮膚病変の出現した時期,部位やその進展様式などの病状経過,皮膚症状に伴う疼痛や瘙痒の有無の聴取が重要である.②眼瞼結膜の診察やリンパ節腫大の評価も行う.
【臨床症状からの診断】血液疾患に合併しやすい皮膚病変に関して,臨床症状を中心に表33-3図に
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