1.現在の病状・病態の説明
肺がんとは,気管・気管支・肺胞の一部の細胞がなんらかの原因で異常に増えてがん化したものです.進行すると血液やリンパの流れに乗ってほかの臓器に広がり,これを「転移」といいます.肺がんの治療方針は,肺がんの種類を示す「組織型」と進行度を示す「病期(ステージ)」に応じて決定します.組織型は,まず小細胞肺がん・非小細胞肺がんの2つに分かれ,さらに非小細胞肺がんは大きく腺がん・扁平上皮がん・大細胞がんに分類されます.病期は,がんの大きさ,リンパ節転移の有無,遠隔転移(肺と胸部リンパ節以外の他臓器への転移)の有無からⅠ期(IA1~3/B),Ⅱ期(ⅡA/B),Ⅲ期(ⅢA/B/C),Ⅳ期(ⅣA/B)に分類され,数字が大きいほど進行している状態を表しⅠ/Ⅱ期は早期がん,Ⅲ/Ⅳ期は進行がんです.遠隔転移があればⅣ期になります.小細胞肺がんでは上記に加えて限局型と進展型という分類を用