診療支援
患者説明

カテーテルアブレーション治療1)
寺井和生
(西新橋クリニック・副院長)

1.現在の病状・病態

 心拍数が増加する不整脈(頻脈性不整脈)には,経過観察のみでいいものから至急対応すべきものまでさまざまなタイプがあり,まずは心電図などによる的確な診断を行って治療方針を立てることが大切です.そのなかで,頻回の頻脈発作が原因で動悸や息切れ,倦怠感,めまいや失神などの症状のために日常生活に支障をきたしたり,将来的に心臓合併症の可能性が高い場合には,頻脈性不整脈の根治的治療法の適応になります.カテーテルアブレーションとは,それらの頻脈の原因となる心筋部位をカテーテルで焼灼することで頻脈性不整脈を根治する治療法です.薬物療法よりも侵襲的ではありますが,1994年以来保険適用となった確立した治療法です.下記のタイプの不整脈に対し行われることが多く,本治療は近年目覚ましい進歩を遂げており,理論や技術の進歩により適応疾患の拡大が期待されています.

 ①心房細動(発作性,持続性)

 ②上室性不整脈(WPW症候群,房室結節リエントリー性頻拍,心房粗動など)

 ③心室性不整脈(心室頻拍など)

2.治療目的

 頻脈性不整脈が起こる原因を心臓電気生理学的検査を行うことで解明し,その原因となる心筋内の異常電気回路や異常電気発生源をカテーテルアブレーション(カテーテルによる心筋異常電気部位の切除)によって焼灼または冷却し,頻脈発作が起こらないようにする根治的な治療です.単回のカテーテルアブレーションを行うことで,それぞれのタイプの頻脈性不整脈に対し,表1に示す成功率2,3)での治癒が期待でき(ただし,再発あるいは単回の治療で治癒しなかった場合は複数回行うこともあります),不整脈に伴う自覚症状の消失,さらには心臓関連疾患や心臓死を防止し,生活の質や生命予後の改善が見込まれます.例えば,心房細動や心房粗動では心房内にできた血栓が血流に乗って脳血管を詰まらせると脳梗塞を発症する危険がありますが,

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