診療支援
患者説明

心臓カテーテル検査,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)1)
寺井和生
(西新橋クリニック・副院長)

1.現在の病状・病態

 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は,心臓(心筋)が正常に働くための酸素が減少あるいは途絶している状態で,心筋に血液を送っている“冠動脈(3本)”の病変が原因です.動脈硬化や血管のスパズム(一時的な収縮)により冠動脈内部が細くなり血液の流れが悪くなる病態を“狭心症”といいます.この場合は,心臓に酸素を多く必要とする運動時にのみ胸痛(狭心痛)が出現しますが,安静にすると,あるいはニトログリセリン舌下内服により冠動脈スパズムを解除するとすみやかに胸痛が消失します.

 一方で,不安定な動脈硬化部位(プラーク)が破綻し,それに続く血栓形成で冠動脈が完全に詰まってしまうと,閉塞した血管領域の心筋に血液が送られなくなります.冠動脈血流途絶により心筋の動きが悪くなる(最終的には心筋壊死)病態を“急性心筋梗塞(急性冠症候群)”といい,冷汗を伴う持続する胸痛が出現します.このときに,心機能の低下による肺水腫,重篤な不整脈などが起こり,場合によっては突然死の可能性もあります.心筋壊死の進展阻止のためには一刻も早く,閉塞した冠動脈の血流を再開する必要があります(発症12時間以内)2).なお,糖尿病患者,高齢者,脳梗塞後患者などでは,典型的な胸痛症状がないこともあり,自覚症状がないまま放置されることから,気づいたときには心筋障害が進展していることもあり,注意が必要です.

 一方で,冠動脈に病変はないものの心機能低下が起こる原因として,心筋自体の病気(肥大型心筋症,拡張型心筋症,急性心筋炎など),心臓弁の障害(弁膜症),先天性心疾患(心房中隔欠損症,心室中隔欠損症など)などがあり,心臓カテーテル検査などを行うことで,診断することができます.

2.検査・治療の目的

 心臓のどの部位に問題があるのかを調べるために心臓カテーテル検査(右心カテーテル検査,左心カテーテル検査)が行われます.右心

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