1.現在の病状・病態
狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は,心臓(心筋)が正常に働くための酸素が減少あるいは途絶している状態で,心筋に血液を送っている“冠動脈(3本)”の病変が原因です.動脈硬化や血管のスパズム(一時的な収縮)により冠動脈内部が細くなり血液の流れが悪くなる病態を“狭心症”といいます.この場合は,心臓に酸素を多く必要とする運動時にのみ胸痛(狭心痛)が出現しますが,安静にすると,あるいはニトログリセリン舌下内服により冠動脈スパズムを解除するとすみやかに胸痛が消失します.
一方で,不安定な動脈硬化部位(プラーク)が破綻し,それに続く血栓形成で冠動脈が完全に詰まってしまうと,閉塞した血管領域の心筋に血液が送られなくなります.冠動脈血流途絶により心筋の動きが悪くなる(最終的には心筋壊死)病態を“急性心筋梗塞(急性冠症候群)”といい,冷汗を伴う持続する胸痛が出現します.このときに,心機