1.現在の病状・病態
心エコー検査は,通常,胸の表面から内部に向けて超音波を発射し(経胸壁心エコー検査),心雑音の原因精査や心臓の様子(心筋の動き,心内腔の様子,弁の動き,先天性心臓病の有無,心囊液貯留の有無,血流の状態など)や大動脈を含む血管の様子などを観察する検査です.診察や心電図,胸部X線では得ることのできない,動いている心臓の状態をリアルタイムに観察することができる有用な検査です.かつ,身体への負担が少ない検査であることから日常診療で繰り返し行われる検査の1つです.ただし,患者の体格次第では,超音波が心臓まで届かず,心臓を鮮明に映し出すことができないことがあります.
そこで,心臓の背側にある食道から超音波を発射し,心臓を観察するために考案されたもの(心臓は食道と接しており,障害物がないため,良好な画像を得ることができます)が,経食道心エコー検査です.心臓の裏側から心臓内部の様子や大