1.現在の病状・病態
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です.原因に関してはいまだ明確なものはわかっていませんが,腸内細菌叢の関与や,自己免疫異常,食生活の変化やストレス,遺伝的素因などが考えられており,近年,遺伝的な要因のある患者さんにこのような環境的要因のきっかけが生じることにより何かしらの免疫異常が生じて病気が発症することがわかってきました.このため治療としては,異常となった免疫を抑え込む治療法(免疫統御療法)が行われます.
病変は一般的には直腸から始まり,連続性に口側に向かって広がり,最も広がる場合は全大腸にまで至ります.炎症が生じる範囲によって,直腸炎型,左側結腸炎型,全大腸炎型,右側結腸炎型に分類されています.大腸の粘膜に炎症を起こすことで大腸の役割である水分や電解質の吸収といった機能が損なわれるため,腹痛と頻回な水様性下痢が生じます.炎症がひどくな