1.現在の病状・病態
急性膵炎には壊死を伴わない間質性浮腫性膵炎と壊死性膵炎があります.このなかには発症後4週以内に軽快治癒するものもありますが,治癒せずに4週以降に膵囊胞を形成するものもあります.間質性浮腫性膵炎発症後4週以降に囊胞化したものが膵仮性囊胞で,壊死性膵炎発症後4週以降に囊胞化したものは被包化壊死(walled–off necrosis;WON)とよばれます1)(改訂アトランタ分類,表1表).また,急性膵炎のほかにも慢性膵炎,膵外傷,膵外科手術後に膵周囲に液体貯留が生じ,膵囊胞が形成されることがあります.これらのうち,無症状のもの,無菌性のものは治療を要さず,自然消退するものもあります.一方,膵囊胞に感染を併発した場合,出血などの偶発症を発症した場合,強い腹痛などの症状がある場合には抗菌薬投与などによる治療の対象となります.
2.治療目的
上記のように膵囊胞に感染を併発した場合