1.現在の病状・病態
電気けいれん療法(electroconvulsive therapy;ECT)は主にECTの効果が期待できるうつ病,双極性感情障害(抑うつ状態,混合状態,躁状態),統合失調症が治療の対象になります.統合失調症のなかでも緊張病症状を示す場合,急性発症,感情症状が伴っている場合では有効性が高いと考えられています.これらは高いエビデンスがあるか,エキスパートのなかで意見の一致が得られています.
次いで,難治性強迫性障害や身体疾患による重症緊張病性障害・精神病性障害・感情障害,悪性症候群,難治性パーキンソン病,難治性発作性疾患,慢性疼痛といった診断では意見の一致が限定的であるか,エビデンスが示唆的なものに限られることから,ECTの適応を慎重に検討します.
なお,適応は診断のみで決まることはなく,診断に加えて病状・病態,重症度,経過,治療歴などを評価し,他の治療法と比較して総合