1.現在の病状・病態
気管支喘息は,空気の通り道である気管支に炎症が生じ,気道が狭くなる病気です.特に,風邪などをきっかけに喘息発作が起きると,普段よりも気管支の内腔が細くなり,ヒューヒューいう音(喘鳴)がしたり,呼吸をするのが苦しくなったりします.
発作の強さは小発作,中発作,大発作,重篤に分けられます(表1表).
2.治療目的
治療の目的は,気管支の炎症を抑えて,内腔を拡張させることです.気管支が広がると呼吸が楽にできるようになります.そのため,炎症を抑える薬と気管支を広げる薬を使用します.喘息発作の治療は約1~2週間程度かかります.発作が改善した後も,将来の喘息発作を予防するために,普段の喘息治療について見直す必要があります.
3.治療法の概略と効果
発作の強さに応じて,後述のような炎症を抑える薬や気管支を広げる薬を使用します(表1表).
1)β2刺激薬
短時間作用型β2刺激薬は気管支を広げる薬です.ネブライザーやスペーサーを用いて吸入すると,数分で気管支拡張効果が認められます.1回の吸入で効果が乏しければ,20分おきに追加で吸入することもできます.ただし,4~6時間程度で効果が切れてくるため,繰り返し使用する必要があります.また,β2刺激薬には炎症を抑える作用はないため,ステロイド薬も併用する必要があります.
2)ステロイド薬
ステロイド薬は炎症を抑制する薬です.気管支喘息の本態は気管支の炎症であり,発作時には内服もしくは点滴によるステロイド薬の全身投与を行います.特に中発作以上の症例では全例でステロイド薬の全身投与を行います.
3)酸素吸入
喘息発作のため体内の酸素が不足するようであれば,酸素投与を行います.
4)アミノフィリン
アミノフィリンは炎症を抑制する作用と気管支を広げる作用を有する薬です.点滴もしくは持続点滴で使用します.しかし,海外ではアミノフィリンの使用は推奨さ