診療支援
治療

高血圧性緊急症
hypertensive emergency
山田京志
(順天堂大学・循環器内科)

A.疾患・病態の概要

●高血圧性緊急症は,単に血圧が非常に高いだけの状態ではなく,血圧の高度上昇(多くは180/120mmHg)によって,脳,心臓,腎臓,大血管などの標的臓器に急性の障害を生じ進行している病態である.高血圧性脳症,急性大動脈解離を合併した高血圧,肺水腫を伴う高血圧性左心不全,高度の高血圧を伴う急性冠症候群(急性心筋梗塞,不安定狭心症),褐色細胞腫クリーゼ,子癇などが含まれる(表1).

●血圧が高度であっても,臓器障害の急速な進行がない場合は「高血圧性切迫症(hypertensive urgencies)」と称される.


B.最初に行う処置

 日常の診療でも遭遇する頻度が多く,時に致死的となるため,迅速な診断と適切な初期治療が不可欠である.高度の高血圧(多くは血圧180/120mmHg以上)を認め,かつ頭痛や嘔吐を含む脳神経症状を認める場合や,胸背部痛や呼吸困難をはじめとする心血管疾

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