診療支援
治療

肩腱板断裂の病態と診断
Rotator cuff tear of the shoulder:pathology and diagnosis
山本 宣幸
(東北大学大学院 准教授)

【疾患概念】

 肩痛の原因として凍結肩とならび頻度の高い疾患で多くは保存治療で症状は改善する.50歳以上にみられ変性断裂が多く,他に外傷性断裂もある.棘上筋もしくは棘下筋の腱断裂がほとんどである.

【頻度】

 一般住民を対象にした検診(超音波検査)では50代で11%,60代で15%,70代で27%,80代で37%に腱板断裂がみられ,全体では22%に腱板断裂を認めた.過去5年間で,当院の肩外来に肩痛で来院した患者の診断名で最も多いのは,腱板断裂であった.このように腱板断裂は,日常診療で多く遭遇する疾患の1つである.

【臨床症状】

 肩痛を主訴に来院する患者が最も多い.運動時痛のほかに夜間痛を訴える患者もいる.多くの腱板断裂患者は上腕外側部の痛みを訴える.時に肩全体,もしくは上腕から前腕まで痛みがある患者もいる.日中痛みが全くなく,夜間痛のみある患者もいる.凍結肩とよく似た症状を呈する.特に拘縮を合併し

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