診療支援
検査

検査計画の進め方 産婦人科疾患
岩佐 武
(徳島大学大学院教授・産科婦人科学分野)

 産婦人科の取り扱う領域として,①生殖医学,②周産期,③婦人科腫瘍,④女性ヘルスケアがあげられる.本項では特に重要な対象疾患を取り上げ,検査の進め方について解説する.


Ⅰ.排卵障害


 排卵を伴う正常月経周期は,間脳-下垂体-卵巣系で作られる機能環により営まれている.この系のどこかに異常が起こると排卵が障害され,月経異常と不妊が招来される.排卵障害は原因によって治療法が異なるので,治療に先立って系統的に検査を行い,原因部位を明らかにする必要がある.

 図21にはわれわれの行っている無排卵症の治療的診断法を示した.この方法は各種ホルモン剤投与に対する消退出血や排卵などの反応を指標に用いて原因を調べる方法である.その後クロミフェンが無効の第1度無月経と無排卵周期症および第2度無月経には,血中LH,FSHおよびPRLを測定し,その成績から間脳-下垂体性,高PRL血症,多嚢胞性卵巣症候群,卵巣性の4群に分類し,適切な治療法を選択する.


Ⅱ.妊婦健診


 妊婦健診は母体と胎児の状態を診察し,異常の早期発見に役立てるものである.


1.健診の頻度

 症状がなくても定期的に,妊娠6カ月までは月1回,7~9カ月は2週に1回,10カ月に入れば週1回受診させる.


2.診察項目

 毎回診察時に,体重測定,検尿,血圧測定,子宮底長の計測,内診(必須ではない)などを行う.


3.検査項目

 表46には現在徳島大学産科婦人科の妊婦外来で行っている検査項目を妊娠週数別にまとめた.主な内容は,血液学的検査(貧血,凝固能),感染症検査(母児感染を中心に),胎児検査(超音波,ノンストレステスト)を含んでいる.

 合併症妊娠の場合は,原病に対する検査を適宜追加する.


Ⅲ.卵巣腫瘍


 卵巣腫瘍が発見された場合,治療前に良性・悪性を予測することは,治療方針を決め,インフォームドコンセントを取得するために大切である.


1.超音波診断

 卵巣腫瘍の超音波

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