診療支援
検査

Fischer比《フィッシャー比》  
Fischer ratio
橋本 佳明
(入間ハート病院内科)

基準値 2.4~4.4


測定法 高速液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)法


検体量 血漿1mL


日数 2~7日


目的 肝障害の重症度の評価とその治療指針


NOTE‍ 保険点数:1,141点(アミノ酸5種類以上)


Decision Level

●1.8以下(高度低下)

[高頻度]肝硬変,劇症肝炎 [可能性]急性肝炎,慢性肝炎,閉塞性黄疸,特発性門脈圧亢進症,心不全,呼吸不全,重症感染症 [対策]原疾患の診断と治療,分枝鎖アミノ酸(branched chain amino acids;BCAA)輸液

●1.8~2.4(軽度~中等度低下)

[高頻度・可能性]「高度低下」と同様 [対策]原疾患の診断と治療


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 Fischer比とはBCAA〔バリン(Val),ロイシン(Leu),イソロイシン(Ile)〕と芳香族アミノ酸〔aromatic amino acids;AAA:フェニルアラニン(Phe),チロシン(Tyr)〕のモル比である.この測定は主として肝障害の重症度の評価とその治療指針(BCAA輸液療法)に用いられている.Fischer比は肝障害の重症度に応じて低下し,肝性脳症を有する患者では1以下になることも珍しくない.肝障害時に,肝での代謝低下によりAAAの血中濃度が上昇するが,BCAAは末梢でもよく代謝されるため血中濃度は上昇しにくい.さらに,重症肝障害時のBCAAの末梢組織での利用亢進や低栄養が重なってBCAAが低下する.急性および慢性肝不全ともにFischer比は低下するが,急性肝不全ではAAAの増加が主体であり,慢性肝不全ではBCAAの減少も加わっている.BCAA低下と門脈-大循環短絡の存在とが関連していると考えられており,特発性門脈圧亢進症でもFischer比は低下する.心不全や呼吸不全でもFischer比の低下が認められるが,1.8以下になることはま

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