基準値 40~80μg/dL
測定法 比色法(奥田・藤井変法)
検体量 血液1mLと除蛋白液4mLの混合液の上清3mL
日数 2~4日
目的 ①肝機能障害や門脈-大循環短絡の重症度の指標,②肝性脳症に対する治療効果の判定
Decision Level
●40μg/dL以下(基準下限以下)
[高頻度・可能性]低蛋白食,貧血 [対策]全身状態の把握.病的意義は少ない
●80μg/dL以上(基準上限以上)
[高頻度・可能性]劇症肝炎,非代償性肝硬変,ショック,低酸素血症,Budd-Chiari症候群,Reye症候群,先天性高アンモニア血症Ⅰ型ならびにⅡ型 [対策]原疾患の診断と治療.蛋白食制限,便秘や消化管出血の有無の確認
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
血漿NH3には,外因性のものと内因性のものがある.外因性NH3は,食物中の蛋白質由来の窒素化合物が腸内細菌により脱アミノ化されて生じる.内因性NH3は,体内でアミノ酸が脱アミノ化されて生じる.血漿NH3は,通常,速やかに肝臓の尿素回路で尿素に変換される.尿素の大部分は腎臓から排泄されるが,残りは腸管内に拡散し,腸内細菌や腸管粘膜のウレアーゼによって再びNH3が生じる.
血漿NH3の上昇は,主として肝臓でのNH3の代謝障害と門脈-大循環短絡が原因となる.便秘,高蛋白食,消化管出血などは高アンモニア血症を増悪させる.
判読
高蛋白食や強度の運動で上昇する.
採取保存
採血後は,赤血球からのNH3の遊離,蛋白や非NH3窒素化合物(グルタミンなど)からのNH3の生成によりNH3濃度は上昇する.したがって,採血後,速やかに除蛋白液と混合した後,遠心して上清を分離する.遠心分離上清は,密栓して冷蔵保存すれば約1週間安定といわれているが,凍結保存が望ましい.試料を運搬する場合は氷冷する.ドライケムスライド法にて全血(EDTA採血)で測定する場合は,採血後氷冷し
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