診療支援
検査

先天性代謝異常症検査   1,141点
analysis for inborn errors of metabolism
窪田 満
(国立成育医療研究センター・総合診療部 統括部長)

基準値 それぞれの検査施設によって異なる.その検査施設での多数の検査値を統計的に処理して,カットオフ値として,その99.9パーセンタイル値を用いることが多い


測定法

・尿中有機酸分析,血中極長鎖脂肪酸:ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)

・タンデムマス分析:タンデム質量分析装置(MS/MS)

・その他:尿中ムコ多糖体分画の定量検査など


検体量

・尿中有機酸分析:部分尿(凍結)3~10mL

・血中極長鎖脂肪酸:血清(凍結)1~2mL

・タンデムマス分析:濾紙血2スポット以上,血清(凍結)0.5mL

・尿中ムコ多糖体分画の定量検査:部分尿(凍結)10mL


日数 それぞれの検査によって異なる(7~14日程度)


目的 代謝産物を用いた先天性代謝異常症の診断


Decision Level

[高頻度]

●尿中有機酸分析

 有機酸代謝異常症(メチルマロン酸血症,プロピオン酸血症,イソ吉草酸血症,メチルクロトニルグリシン尿症,複合カルボキシラーゼ欠損症,グルタル酸血症1型など)で確定診断の根拠となる.

●血中極長鎖脂肪酸

 副腎白質ジストロフィーは早期診断が重要で,そのためには血中極長鎖脂肪酸検査が不可欠である.さらにそれ以外のペルオキシソーム病でも効率的に診断につなげるために必要である.

●タンデムマス分析

 脂肪酸代謝異常症〔極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症,三頭酵素欠損症,中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症,全身性カルニチン欠乏症,カルニチン・パルミトイル・トランスフェラーゼ(CPT)1欠損症,CPT2欠損症,グルタル酸血症2型など〕で,確定診断の根拠となる.特に長鎖脂肪酸代謝異常症では,血清を用いたアシルカルニチン分析が望ましい.

●その他(尿中ムコ多糖体分画)

・ムコ多糖症Ⅰ型:(上昇する物質)デルマタン硫酸,ヘパラン硫酸

・ムコ多糖症Ⅱ型:(上昇する物質)デルマタン硫酸,ヘパラン硫酸

・ムコ多糖症Ⅲ型:(上昇す

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