基準値 それぞれの検査施設によって異なる.その検査施設での多数の検査値を統計的に処理して,カットオフ値として,その99.9パーセンタイル値を用いることが多い
測定法
・尿中有機酸分析,血中極長鎖脂肪酸:ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)
・タンデムマス分析:タンデム質量分析装置(MS/MS)
・その他:尿中ムコ多糖体分画の定量検査など
検体量
・尿中有機酸分析:部分尿(凍結)3~10mL
・血中極長鎖脂肪酸:血清(凍結)1~2mL
・タンデムマス分析:濾紙血2スポット以上,血清(凍結)0.5mL
・尿中ムコ多糖体分画の定量検査:部分尿(凍結)10mL
日数 それぞれの検査によって異なる(7~14日程度)
目的 代謝産物を用いた先天性代謝異常症の診断
Decision Level
[高頻度]
●尿中有機酸分析
有機酸代謝異常症(メチルマロン酸血症,プロピオン酸血症,イソ吉草酸血症,メチルクロトニルグリシン尿症,複合カルボキシラーゼ欠損症,グルタル酸血症1型など)で確定診断の根拠となる.
●血中極長鎖脂肪酸
副腎白質ジストロフィーは早期診断が重要で,そのためには血中極長鎖脂肪酸検査が不可欠である.さらにそれ以外のペルオキシソーム病でも効率的に診断につなげるために必要である.
●タンデムマス分析
脂肪酸代謝異常症〔極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症,三頭酵素欠損症,中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症,全身性カルニチン欠乏症,カルニチン・パルミトイル・トランスフェラーゼ(CPT)1欠損症,CPT2欠損症,グルタル酸血症2型など〕で,確定診断の根拠となる.特に長鎖脂肪酸代謝異常症では,血清を用いたアシルカルニチン分析が望ましい.
●その他(尿中ムコ多糖体分画)
・ムコ多糖症Ⅰ型:(上昇する物質)デルマタン硫酸,ヘパラン硫酸
・ムコ多糖症Ⅱ型:(上昇する物質)デルマタン硫酸,ヘパラン硫酸
・ムコ多糖症Ⅲ型:(上昇す
関連リンク
- 臨床検査データブック 2023-2024/総カルニチン,遊離カルニチン [保] 95点
- 臨床検査データブック 2023-2024/アミノ酸 [保]*
- 臨床検査データブック 2023-2024/アミノ酸分析2種類(チロシン,フェニルアラニン) [保]* 558点
- 新臨床内科学 第10版/4 尿素サイクル異常症
- 新臨床内科学 第10版/5 有機酸代謝異常症
- 令和6年 医科診療報酬点数/D001 尿中特殊物質定性定量検査
- 令和6年 医科診療報酬点数/D007 血液化学検査
- 令和6年 医科診療報酬点数/D010 特殊分析
- 今日の診断指針 第8版/先天性アミノ酸代謝異常症
- 今日の小児治療指針 第17版/マススクリーニングで陽性になった新生児への対応