診療支援
検査

シスタチンC〔Cys-C,CysC〕   115点
cystatin C
金子 知代
(JR東日本健康推進センター・疫学調査科部長)
下澤 達雄
(国際医療福祉大学主任教授・臨床検査医学)

基準値

・検査機関および検査方法によって若干異なるが,0.9~1.0mg/L当たりを基準上限と考える

・男性:0.61~1.00mg/L(LSIメディエンス)

・女性:0.51~0.82mg/L(LSIメディエンス)

・小児については表63,表64のとおりである.


測定法 EIA法,ラテックス凝集比濁法,ネフェロメトリー法,金コロイド凝集法


検体量 血清0.3mL


日数 2~3日


目的 腎臓機能の評価(特に早期腎障害に有効)


Decision Level

●上昇

[高頻度]腎不全(高度上昇),腎機能低下 [可能性]甲状腺機能亢進症,副腎皮質ホルモン剤投与,腎移植後,HIV感染症,妊娠 [対策]Cys-Cは2005年に保険適用が認められた比較的新しい腎機能のマーカーである.血清クレアチニン(Cr)にはまだ反映されない軽度の腎障害でも上昇するというCys-Cの特性を生かして,血清Crは上昇していないが早期腎障害が疑われる場合にはCys-Cで腎機能の評価を行い,腎障害がある程度進展した段階では血清Cr値による推定糸球体濾過量(eGFR)や,従来のクレアチニンクリアランス(Ccr)やイヌリンクリアランス(Cin)で評価する.また,Cys-Cは基本的に年齢・性別・体格などの腎前性要素には左右されにくく,四肢欠損やサルコペニア,フレイル,長期臥床,一部の神経疾患などによる筋肉量の低下など,血清Crによる評価が困難な症例にも有用である.ただし,一部影響を受ける要素もあるので,患者背景(疾病・服薬など)の把握とその影響については留意する

●低下

[可能性]甲状腺機能低下症


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 Cys-Cはシスタチンスーパーファミリーに属する分子量13kDの低分子蛋白で,全身の有核細胞から産生されるシステインプロテアーゼ・インヒビターの一種である.生体内の免疫システムの適正化や感染防御,組織および細

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