診療支援
検査

アンジオテンシンⅡ
angiotensin Ⅱ
橋本 直明
(東都春日部病院・副院長)

基準値 13~25pg/mL


測定法 RIA法


検体量 血漿2mL


日数 3~6日


目的 高血圧,心不全などでの原因診断と病態の把握


Decision Level

●高値(基準上限以上)

[高頻度]腎血管性高血圧,悪性高血圧,肝硬変,ネフローゼ症候群,急性心不全 [可能性]Bartter症候群,傍糸球体細胞腫,褐色細胞腫,Addison病,甲状腺機能亢進症,腎実質性高血圧,水腎症,嚢胞腎 [対策]血圧測定と身体所見,検尿,血液生化学・電解質検査,腎機能検査,血漿レニン活性(PRA)と血漿アルドステロン濃度の同時測定,腹部超音波,腹部CTなど

●低値(基準下限以下)

[可能性]低レニン性本態性高血圧,原発性アルドステロン症,Liddle症候群など [対策]血圧測定と身体所見,検尿,血液生化学・電解質検査,腎機能検査,PRAと血漿アルドステロン濃度の同時測定,腹部超音波,腹部CTなど


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 アンジオテンシンⅡはレニン-アンジオテンシン系の中心的な生理活性物質で,8個のアミノ酸からなるペプチドである.肝臓で産生されたレニン基質をレニンが切断して,アミノ酸10個からなるアンジオテンシンⅠを生じ,アンジオテンシン変換酵素(ACE)がさらにC末端側の2アミノ酸を除去してアンジオテンシンⅡが生成される.生体内は半減期1~2分で代謝される.

 血漿アンジオテンシンⅡ濃度はPRAと並行して増減することが多いが,妊娠,経口避妊薬のようにレニン基質合成の増加の影響,あるいは,薬物服用の影響(ACE阻害薬,アンジオテンシンⅡ拮抗薬)を受ける場合もある.生理的にも,体位,Na摂取,体液量の影響によって変動するため,下記のように採血時の条件を一定にする.


[関連する検査]

 PRA,血漿アルドステロン濃度と同時に測定する場合も多い.


判読

①生理的にはPRAに並行して増減するので,循環血液量が減少する

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