基準値 3~40ng/mL
測定法 IRMA法
検体量 血清0.3mL
日数 3~6日
目的 胃粘膜萎縮の指標
Decision Level
●3ng/mL以下(減少)
[高頻度]萎縮性胃炎,胃切除後 [可能性]胃腺腫,胃癌 [対策]上部消化管X線検査,内視鏡検査,画像診断
●40ng/mL以上(増加)
[高頻度]胃・十二指腸潰瘍,Zollinger-Ellison症候群,急性胃粘膜病変,プロトンポンプ阻害薬(PPI)服用 [可能性]Brunner腺腫 [対策]上部消化管X線,内視鏡検査,血中ガストリン測定,画像診断,検尿,腎機能検査,PPI中止
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ペプシノゲンⅡは胃内全域の腺細胞およびBrunner腺細胞によって分泌される.胃粘膜内の産生の亢進または腎からの排泄の低下により血中濃度が上昇する.粘膜内での産生の低下や胃粘膜量そのものの減少により低下する.ペプシノゲンⅡ高値の場合はペプシノゲンⅠと同様に消化性潰瘍のハイリスク群と考えられる.低値を示す場合は胃粘膜の萎縮の存在と程度の判定に役立つ.また,Helicobacter pylori陽性時には,陰性時よりも有意に高値を示す.
[関連する検査]
「ペプシノゲンⅠ」の項参照→.
判読
①加齢とともに漸増傾向を示す.②性差は認められない.③日差変動,人種差は認められない.④食事は測定値に影響しない.⑤抗凝固剤の影響は受けない.⑥腎不全で上昇する.
採取保存
①室温(25℃)で3日間,4℃で7日間安定である.②-20℃で数年間保存可能である.
薬剤影響
上昇PPIの使用で2~3倍の測定値の上昇がみられ,服用中止後前値に戻るまで1~2カ月を要する.
推奨する総説
笹島雅彦ほか:ペプシノゲン法による胃がんスクリーニング.綜合臨牀 54:1425-1426,2005
(片倉 芳樹,四柳 宏)
関連リンク
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