基準値 8.6~20.5U/L
測定法 酵素法
検体量 血清0.4mL
日数 4~6日
目的 肝疾患および結核の補助診断
Decision Level
●5U/L以下(低下)
[高頻度・可能性]ADA欠損症 [対策]液性および細胞性免疫検査,遺伝子解析
●20~60U/L(増加)
[高頻度]急性肝炎,慢性肝炎,アルコール性肝障害,肺結核,風疹 [可能性]白血病,肝硬変,HIV感染症 [対策]肝機能検査,線維化マーカー,血液・骨髄像,細菌検査,ウイルス抗体価
●60U/L以上(高度増加)
[高頻度]肝硬変,肝癌,伝染性単核球症,白血病 [可能性]HIV感染症 [対策]肝機能検査,画像診断,血液・骨髄像,ウイルス抗体価
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ADAには2種類のアイソザイム(ADA1,ADA2)が存在し,血清中のADAは約80%がADA2でリンパ球,単球に由来すると考えられる.
急性肝炎では発症初期にADA1,回復期にADA2が増加する.慢性肝炎でも活性が上昇し,肝硬変ではさらに上昇する.原発性肝癌でも高値となるが,転移性肝癌では軽度の上昇にとどまる.
白血病ではADA1が増加するが,T細胞性白血病ではADA2が増加する.伝染性単核球症,風疹,結核でも活性は上昇するが,これらはT細胞系リンパ球に由来する.
ADA欠損症はADA1の構造遺伝子の異常によると考えられている.赤血球のみでなく,全身組織のADA1欠損がみられる.
[関連する検査]
胸水におけるADA値は癌性胸膜炎(低値)と結核性胸膜炎(高値)の鑑別に有用である.
判読
①新生児では成人と活性は変わらず,乳児期は成人の1.5~2倍.その後漸減し成人の値に達する.②溶血により活性が上昇する.③抗凝固剤の影響は受けない.
採取保存
①血清で比較的安定.②4℃で1週間安定.③-20℃の凍結で数カ月安定である.
推奨する総説
佐藤典治:血液生化学検査/
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