基準値
・ECLIA:0.10ng/mL以下(急性心筋梗塞のカットオフ値)
・簡易測定キット:陰性(0.1ng/mL未満)
測定法
・ECLIA法
・イムノクロマト法(簡易測定キット:トロップTセンシティブ,ロシュ・ダイアグノスティックス社など)
検体量
・ECLIA:血清0.5mL
・簡易測定キット:全血150μL(ヘパリンまたはEDTA添加全血)
日数
・ECLIA:1日(測定時間60分)
・簡易測定キット:測定時間15分
目的 急性心筋梗塞の診断
Decision Level
●高値(基準値上限以上)
[高頻度]急性心筋梗塞 [可能性]不安定狭心症,心筋炎,高度の腎不全,非常に高度の骨格筋障害,心臓移植後の拒絶反応,開心術時の心筋障害 [対策]急性心筋梗塞,不安定狭心症,心筋炎を考えて診断と治療を急ぐ.赤沈,白血球数,CK,CK-MB,H-FABP,AST,LD,BUN,クレアチニン測定.心エコー,冠動脈造影.心電図モニター.ニトログリセリン投与など
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
トロポニンTは,トロポニンI,Cとともにトロポニン複合体を形成し,心筋,横紋筋の収縮調節をつかさどる蛋白である.心筋と骨格筋で異性体が異なり,免疫学的に区別が可能で,現在心筋トロポニンTは,心筋特異性が最も高い検査である.
心臓では心筋の構造蛋白であるとともに,一部は細胞質にも存在し,心筋壊死を反映して血中レベルが増加する.急性心筋梗塞では,約3~6時間後から上昇し,8~18時間後に最高値に達し,2~3週後まで有意な上昇が続く.急性心筋梗塞後,再灌流の有無で血中レベルの経時的変化が異なり,再灌流例では3~7日後に第2のピークを認め,非再灌流例では一峰性である.また,不安定狭心症の重症度の診断にも役立つ.心筋梗塞発症ごく早期(約2~3時間後は)H-FABPのほうが役立つ.
腎排泄のため,高度の腎不全では影響を受ける可能
関連リンク
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- 臨床検査データブック 2023-2024/ループスアンチコアグラント〔LA,LAC〕 [保] 273点
- 新臨床内科学 第10版/心エコー
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