基準値 3.2~6.0(6.2未満)μg/L
測定法 ELISA,イムノクロマト法,ラテックス凝集法,ラテックス免疫比濁法
検体量 血液1mLまたは血清0.3mL
日数
・院外検査:2~4日
・15分以内で測定できる簡易全血測定プレートが発売されている
目的 急性冠症候群などでの心筋障害のマーカー
Decision Level
●12μg/L以上(増加)
[高頻度]急性心筋梗塞 [可能性]不安定狭心症,大動脈解離,大動脈瘤破裂,肺梗塞,心筋炎,多発性筋炎.特に腎不全を伴った場合.骨格筋の障害 [対策]①胸痛がある場合には心電図にてST-T変化を確認.胸部X線,心臓超音波検査.胸部CT.②心筋梗塞の疑いが強くなれば緊急冠動脈造影検査.③腎不全のチェックのために,採血検査で腎機能を調べる.④来院時心停止などの状況で,骨格筋障害との鑑別が必要な場合にはミオグロビンを測定し,ミオグロビン/H-FABPが14以下であれば心筋梗塞の可能性が高い.また心筋梗塞の場合には,発症から6時間以降であれば心筋トロポニンT,Iを推奨
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
心筋は脂肪酸を主なエネルギー源とするため,脂肪酸の運搬などにかかわるH-FABPの含有量が多い.骨格筋でのH-FABP含有量は心筋の10~30%にすぎないため,心筋障害の有用なマーカーとなる.H-FABPは細胞質に存在する15kDaの低分子可溶性蛋白質で,ミオグロビン(17kDa)とほぼ同様に心筋梗塞後2~3時間のごく早期においても上昇し,約70~90%の感度(sensitivity)を示す.最近のレビュー論文によれば感度はH-FABPのほうが高く,特異度はトロポニンTのほうが高かった.
また心筋梗塞再灌流の判定,心筋梗塞サイズの推定,開心術後の心筋障害早期判定(大動脈遮断解除後に約50分で最高値に達する)に有用である.心筋梗塞発症24時間後ではH-F
関連リンク
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- 臨床検査データブック 2023-2024/ミオグロビン [保] 135点
- 臨床検査データブック 2023-2024/心筋トロポニンT〔TnT〕 [保] 112点
- 臨床検査データブック 2023-2024/心筋トロポニンI [保] 112点
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- 臨床検査データブック 2023-2024/脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント〔NT-proBNP〕 [パニ][保] 136点(包)
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- 臨床検査データブック 2023-2024/Dダイマー《D-Dダイマー》 [保]*