診療支援
検査

リパーゼ   24点(包)
lipase
片倉 芳樹
(あおば胃腸内科クリニック院長)
四柳 宏
(東京大学医科学研究所教授・先端医療研究センター感染症分野)

基準値

・36~161IU/L(比濁法)

・12~51U/L(カラーレート法)

・13~49U/L(リパーゼカラー法)


測定法 比濁法,カラーレート法,リパーゼカラー法


検体量 血清0.5mL


日数 2~4日


目的 膵疾患の病態解明


Decision Level

●基準下限以下(減少)

[高頻度]慢性膵炎,膵切除術後 [可能性]膵腫瘍 [対策]アミラーゼ測定,膵外分泌機能検査

●基準上限~500IU/L(増加)

[高頻度]急性膵炎,慢性膵炎,膵腫瘍,肝疾患,腎不全 [可能性]胆嚢・胆道疾患,糖尿病,消化性潰瘍 [対策]膵炎重症度判定,腫瘍マーカー,画像診断

●500IU/L以上(高度増加)

[高頻度]急性膵炎 [可能性]慢性膵炎急性増悪,膵腫瘍,胆道疾患 [対策]「増加」の対策と同様


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 リパーゼは膵腺房細胞で合成され膵液中に分泌されるが,血中の活性は膵の損傷により血中に逸脱したリパーゼによる.比濁法での測定は,エステラーゼ,肝リパーゼ,リポ蛋白リパーゼ(LPL)などの膵リパーゼ以外の酵素の上昇も含まれるため,酵素法での測定がより膵に対する特異性が高く,膵病変,特に膵炎の病態解明に役立つ.急性膵炎で高値が遷延する場合は膵仮性嚢胞を疑う.

 腎不全ではリパーゼが上昇することが多いが,著増することは少ない.胆嚢・胆道疾患,消化性潰瘍などでも軽度上昇することがある.

 低値を示す場合は進行した慢性膵炎,膵切除例などで,臨床上は膵外分泌機能の低下が問題となる.


[関連する検査]

 膵由来であるアミラーゼとの相関がある.急性膵炎時にはアミラーゼのほうが早期に高値を示す.高値持続日数はリパーゼのほうがアミラーゼより長い.


判読

①日内変動や食事の影響は少ない.②性差は認められない.③高度の脂質異常症では低値にでる可能性がある.④溶血の影響は認められない.


採取保存

①新鮮血清を用いる.②4℃で1~2

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