異常値のでるメカニズムと臨床的意義
●主要な脂質検査
脂質は生体の主要な構成成分であり,多様な構造と広範な機能を有する.臨床検査として実臨床で活用される代表的脂質には,コレステロールとトリグリセライド(TG)がある.胆汁酸,コレステロール関連脂質,脂肪酸,エイコサノイドなども臨床検査として測定対象になる脂質である.脂質ではないが,脂質異常と密接に関連する蛋白成分も脂質検査項目に含めて考えることが可能である.
測定対象となる脂質によって臨床的意味合いは多様であるが,冠動脈疾患などの動脈硬化性疾患の発症リスク予測を目的に計測されるコレステロールとその関連指標やTGの臨床的役割が大きい.コレステロールもTGもリポ蛋白と呼ばれる巨大な蛋白脂質複合体として血中を輸送される.したがって,それらの測定はリポ蛋白解析の簡便法としての意味合いが大きい.負の動脈硬化リスクファクターであるHDL-コレステロール(