診療支援
検査

HDL-コレステロール〔HDL-C〕   17点(包)
★★
high density lipoprotein cholesterol
木下 誠
(東レ(株)医務室)

基準値 40~65mg/dL

共用基準範囲

・男性:38~90mg/dL

・女性:48~103mg/dL


測定法 直接法


検体量 血清0.5mL


日数 2~4日


目的 抗動脈硬化作用をもつリポ蛋白の測定


Decision Level

●20mg/dL以下(高度減少)

[高頻度]アポ蛋白A-Ⅰ欠損症,レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)欠損症,魚眼病,Tangier病 [可能性]肝硬変,慢性腎不全 [対策]原疾患の治療

●20~40mg/dL(減少)

[高頻度・可能性]高トリグリセライド血症,肥満,糖尿病,甲状腺機能亢進症,肝硬変,慢性腎不全,骨髄腫,脳梗塞,喫煙,プロブコール投与時 [対策]原疾患の治療

●65~100mg/dL(増加)

[高頻度・可能性]コレステロールエステル転送蛋白(CETP)欠損症,肝性リパーゼ欠損症,アポ蛋白C-Ⅲ異常,長期多量飲酒,原発性胆汁性肝硬変,肺気腫,薬剤(フィブラート系薬,ニコチン酸,HMG-CoA還元酵素阻害薬,エストロゲン,インスリン) [対策]原疾患の治療

●100mg/dL以上(高度増加)

[高頻度]CETP欠損症,肝性リパーゼ欠損症 [可能性]長期多量飲酒,原発性胆汁性肝硬変 [対策]原疾患の治療


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 高密度リポ蛋白(HDL)は末梢細胞に蓄積したコレステロールを引き抜くことで,動脈硬化症に予防的役割を果たしているリポ蛋白である.疫学調査において,低HDL血症では虚血性心疾患の発症頻度が上昇することが知られている.低HDL血症の原因として,高トリグリセライド血症に伴うものが多く認められる.

 20mg/dL以下の著明な低HDL血症の原因としては,LCAT欠損症などの遺伝疾患の他に,肝硬変などによるリポ蛋白の合成障害がある.

 低HDL血症は動脈硬化症の危険因子となるので是正する必要があるが,現在のところ特異的にHD

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