基準値 7.5mg/dL(コレステロール)以下
測定法 免疫吸着法,酵素法
検体量 血清0.2mL
日数 5~7日
目的 レムナントリポ蛋白(RLP)の評価
Decision Level
●7.5mg/dL以上(増加)
[高頻度・可能性]脂質異常症,虚血性心疾患,糖尿病,脂肪肝,アルコール性肝障害,慢性期脳梗塞患者 [対策]原疾患の治療
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
動脈硬化症の発症において低密度リポ蛋白(LDL)とともに,RLPが重要な役割を果たしていると考えられている.RLPとは,カイロミクロンやVLDLといったトリグリセリドに富むリポ蛋白の代謝過程で生じるもので,レムナントが血中に停滞することが動脈硬化症の危険因子であると考えられている.したがって,動脈硬化危険因子を評価するうえでレムナント測定は重要である.
RLPはアポ蛋白A-Ⅰとアポ蛋白B-100を認識する抗体カラムを用いて,この両者をもたない粒子,すなわちアポ蛋白B-48とアポ蛋白Eのみをもつリポ蛋白を測定する方法である.この方法で分離されたRLPのコレステロール量を測定したのがRLP-Cである.通常ではRLPはレムナントの存在を示していることが多いが,リポ蛋白異常がある場合にはそれ以外のリポ蛋白も含むことになり,必ずしもレムナントのみを測定しているわけではないことは認識しておく必要がある.
また酵素法にてRLPを測定する方法もある.この方法はRemL-C(remnant lipoprotein cholesterol)と呼ばれており,RLPのみを溶解しそこに含まれるコレステロールを測定する方法である.RLP-CとRemL-Cはおおよそ似た値を示す.
[関連する検査]
他の動脈硬化促進因子(LDL-C,HDL-Cなど)との総合評価が必要である.
判読
①年齢,性差などによる変動は知られていない.②脂肪および食事負荷にて増加する
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