診療支援
検査

亜鉛〔Zn〕   136点
zinc
安田 隆
(吉祥寺あさひ病院副院長)

基準値

・血清Zn濃度:80~130μg/dL

・尿中Zn濃度:270~660μg/日


測定法 原子吸光法による測定法が一般的であるが,比色法も用いられる


検体量

・血清0.5mL

・尿10mL


日数 2~4日


目的 Znの欠乏や過剰症の診断〔特に欠乏の診断時に重要(味覚障害,長期の維持輸液時,栄養不良の場合などに疑う)〕


Decision Level

●血清Zn30μg/dL以下(高度Zn欠乏)

[高頻度]摂取不足,長期の高カロリー輸液,維持透析療法など [可能性]腸性肢端皮膚炎 [対策]Zn製剤投与

●血清Zn31~60μg/dL(軽度~中等度Zn欠乏)

[高頻度]摂取不足,食思不振症,穀物・豆類のみの長期摂取,維持透析療法,妊娠,授乳,低アルブミン血症,薬剤(D-ペニシラミン,利尿薬,バルプロ酸Naなど) [対策]原因除去やZn製剤投与

●血清Zn60~80μg/dL未満(潜在性Zn欠乏)

[高頻度]肝硬変,糖尿病,慢性炎症性腸疾患,吸収不良症候群,慢性腎臓病,ネフローゼ症候群,維持透析など [対策]Zn製剤投与

●血清Zn130~299μg/dL(軽度~中等度上昇)

[高頻度]Zn製剤やZn含有サプリメント,異食症などによる過剰摂取,透析液からの中毒など [可能性]内分泌疾患 [対策]原因の除去

●血清Zn300μg/dL以上(高度上昇)

[高頻度]急性中毒 [対策]救急処置


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 Znは2価の陽イオンで,人間にとって必須な微量元素であり,発育,皮膚代謝,創傷治癒,生殖機能,味覚維持,免疫機能,精神・行動の維持などの多彩な生体の活動に関与している.特に重要な機能として,細胞分裂などの成長,組織や創傷の修復での役割,ジンクフィンガーなど分子構造の安定性への寄与があり,また酵素をはじめとした250種類以上の蛋白に含まれ,その機能維持を担っている.

 Znの推奨摂取量は年齢や性別で異

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