基準値 10μg/L以下
測定法 原子吸光法
検体量 血清0.5mL
日数 3~5日
目的 ①人工透析患者の透析環境管理,②Al脳症の予防
Decision Level
●20~60μg/L(軽度上昇)
[高頻度]不十分な透析液の処理,Al含有製剤(リン吸着薬,制酸薬など)の服用 [可能性]クエン酸含有薬剤(クエン酸Caやクエン酸第二鉄)の服用 [対策]20μg/L以上であれば病的と判断して,原因の検索とその対応を行う.症状よりAl毒性が疑われる場合にはデフェロキサミン(DFO)負荷試験を行い,陽性の場合には高効率・頻回透析やDFOによる治療を行う
●60~200μg/L(中等度上昇)
[高頻度]不十分な透析液の処理+Al含有製剤の服用 [対策]原因の検索とその対応とともにDFO負荷試験を行い,陽性の場合には上述の治療を行う
●200μg/L以上(高度上昇)
[高頻度]透析液へのAl混入 [可能性]不十分な透析液の処理+Al含有製剤の服用 [対策]高効率・頻回透析.DFO使用(負荷試験や治療)はさける
NOTE 蓄積したAlを血液中に引き出すDFO負荷試験では50μg/L以上の上昇を認めた場合に陽性とする
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
Alは必須性が証明されていない微量元素で,生体にとっては有害であり,臨床的にはAl蓄積による中毒が問題となる.
Alは土壌,水,空気中のちりなどに広範に存在するため,そこから吸収されたAlが野菜,穀類,魚介類などに微量に含まれる.また,医薬品や膨張剤,色止め剤,品質安定剤などの食品添加物にAlが含まれている.現在ではAlの毒性が広く認知され,水道水,食品添加物などについて種々の対策が行われている.
Alは食事,飲水,薬剤などからの経口以外にも,エアゾールの吸入,皮膚接触,ワクチンなどの薬剤や透析により体内に吸収される.経口摂取した場合,99%以上はそのまま便中に
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