目的 代謝と換気のバランス,酸塩基平衡を評価する
NOTE *保険点数:135点(血液ガス分析)
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
血液ガスを解釈する方法には,大きく分けると,重炭酸緩衝系を使用する生理学的アプローチと物理化学的アプローチであるStewart法が存在する.重炭酸緩衝系を用いる方法にも,アニオンギャップ(AG)を使用する方法とベースエクセス(BE)を使用する方法がある.どの方法にも長所・短所があるが,簡便に利用することができ臨床的な有用性が検証されていることから,本項ではAGを用いる方法を解説する.
血液ガス分析の評価を行ううえで,まず以下の式・基準値を記憶する.
Henderson-Hasselbalchの式:
pH=6.1+log〔[HCO3-(mEq/L)]/{0.03×PaCO2(mmHg)}〕≒腎/肺(代謝/呼吸)
Hendersonの式:
[H+](nEq/L)=24×{PaCO2(mmHg)/HCO3-(mEq/L)}
基準値
・pH:7.38~7.41
・[H+]:39~41nEq/L
・PaCO2:36~44mmHg
・HCO3-:24±2mEq/L
・AG:Na+-(Cl-+HCO3-)(基準値:12±2mEq/L)
血液ガス分析の評価は,以下の5つのstepを用いて体系だった方法を用いて行う.
Step1:Hendersonの式を用いてpHと[H+]の関係(表72図)をもとに,血液ガスデータ(pH,PaCO2,HCO3-)の整合性を確認する.データはすべて正しいとは限らず,エラーはありうる.
Step2:pHからアシデミア,アルカレミアの判定を行う.アシデミアあるいはアルカレミアがHCO3-の変化(代謝性)によるものか,PaCO2の変化(呼吸性)によるものかを判定する.pHを調整している代謝性,呼吸性因子の関係については,Henderson-Hass