診療支援
検査

アニオンギャップ〔AG〕
★★
anion gap
安田 隆
(吉祥寺あさひ病院副院長)

基準値

・血清AG:12±2mEq/L

・尿AG:0~10mEq/L


測定法 血清,尿検査データより以下の式で計算される

・血清AG=Na-Cl-HCO3(血漿または血清検査値)※ただし,低アルブミン血症がみられる際には次の式からの補正AGを用いる

・補正血清AG=Na-Cl-HCO3+2.5×Alb減少分(mg/dL)

・尿AG=Na+K-Cl(尿検査値)


目的 代謝性酸塩基平衡異常の鑑別診断


Decision Level

●14mEq/L以上(AG上昇型代謝性アシドーシス)

[高頻度]乳酸性アシドーシス,ケトアシドーシス,腎不全,薬剤中毒(サリチル酸,メタノール,急性アルコール中毒,アスピリン中毒,エチレングリコール中毒) [可能性]血清アルブミン増加,アルカリ血症,K・Ca・Mgの低下,細胞外液量減少,高P血症,単クローン性高γ-グロブリン血症 [対策]原因検索と原因への対応

●10mEq/L以下

[高頻度]低アルブミン血症,高γ-グロブリン血症(IgG型多発性骨髄腫など) [可能性]Li中毒,Br中毒,I中毒,K・Ca・Mgの上昇,低P血症 [対策]原因検索と原因への対応


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 血清AGは血清重炭酸(HCO3-)濃度の測定を行った際に,Na-Cl-HCO3-で計算される値で,代謝性アシドーシスの鑑別診断の絞り込みに利用される.血清AGの増加がみられた際には,AG増加型代謝性アシドーシスの存在が強く示唆される.混合性酸塩基平衡異常によりpHに異常がみられないこともあるため,血液ガス分析検査を行った際には必ず計算すべき値である.血清のイオン組成は陽イオンと陰イオンが等価で存在する.陽イオンはNaがほとんどで,その他の陽イオン(K,Ca,Mg,γ-グロブリンなど)はわずかである.一方,陰イオンはClとHCO3-が主であり,その他は蛋白(特にアルブミン),リン酸,有

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?