診療支援
検査

総カルニチン,遊離カルニチン   95点
total carnitine,free carnitine
窪田 満
(国立成育医療研究センター・総合診療部 統括部長)

基準値

・総カルニチン:45.0~91.0μmol/L

・遊離カルニチン:36.0~74.0μmol/L

・アシルカルニチン:6.0~23.0μmol/L

 (遊離カルニチンとアシルカルニチンの和が総カルニチンである)


測定法 酵素サイクリング法


検体量 血清0.5mL


日数 4~6日


目的 総カルニチンおよび遊離カルニチンの測定


Decision Level

●異常低値

[高頻度]低カルニチン血症:①先天代謝異常症(全身性カルニチン欠乏症,脂肪酸代謝異常症,有機酸代謝異常症),②二次性〔薬剤(バルプロ酸ナトリウム,ピボキシル型抗菌薬など),摂取不足(カルニチン摂取の減少;静脈栄養管理もしくは経腸栄養管理を長期に受けている筋ジストロフィー・筋萎縮性側索硬化症の患者・小児の患者,人工乳もしくは特殊治療用ミルクを長期に使用している小児患者) 〕 [可能性]低カルニチン血症:①二次性(熱傷,敗血症,Fanconi症候群,慢性維持透析の患者など) [対策]カルニチン補充療法を検討する.先天代謝異常症による低下が疑われた場合は,血清あるいは濾紙血を用いたタンデムマス分析〔「先天性代謝異常症検査」参照〕を行い,アシルカルニチンプロファイルを確認する

●異常高値

[高頻度]L-カルニチン製剤やカルニチンを含むサプリメントの過剰投与 [可能性]慢性腎不全(慢性維持透析導入前)


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 検査の原理は以下のとおりである.まず,検体中のアシルカルニチンをアシルカルニチンエステラーゼを用いて,すべて遊離カルニチンにする.次に,カルニチンデヒドロゲナーゼ(CDH)存在下にThio-NAD+がThio-NADHになる生成速度を測定することで遊離カルニチンの濃度を推定する.これが総カルニチン量となる.最初の遊離カルニチンにする過程を省けば,生体内の遊離カルニチンのみを測定することになり,前者の濃度と後

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