基準値 血清Na値や浸透圧に依存する(図62図参照)
測定法 RIA 2抗体法,ELISA
検体量 血漿2.5mL
日数 1~7日
目的 尿崩症とSIADHの診断と評価
Decision Level
●高値
[可能性]異所性バソプレシン産生腫瘍,異所性バソプレシン産生腫瘍以外のバソプレシン分泌過剰症(SIADH),脱水症,腎性尿崩症 [対策]①異所性バソプレシン産生腫瘍は,圧倒的に肺癌,特に小細胞未分化癌と燕麦細胞癌に多く80%を占め,次いで悪性胸腺腫などにみられるので,これらの腫瘍の検索が必要.異所性バソプレシン産生腫瘍のなかにはACTHやカルシトニンなどをバソプレシンと同時に産生するものもある.その血中バソプレシン値は2~25pg/mLと広範囲に分布するが,自由飲水下での複数の測定で健常者より高い値を示すことが多い.症状としてはSIADHを呈する.②異所性バソプレシン産生腫瘍以外にもSIADHは,中枢神経疾患を中心にみられる.ただ,SIADHにおいて血中バソプレシン基礎値は必ずしも高値ではなく,基準範囲内にありながら低血漿浸透圧により抑制されないものや分泌閾値が低く設定されているものなど,4つのバソプレシン分泌異常のタイプに分けられている.したがって,SIADHの診断と治療はSIADH診断基準に則って行い,バソプレシン基礎値は参考にとどめる.バソプレシン分泌異常の詳細をみるには,5%高張食塩水負荷で血漿浸透圧を変化させ,血清Naとそのときのバソプレシン値をグラフにプロットしてみるのがよい.③腎性尿崩症は腎疾患に続発する場合と先天性のバソプレシン不応症によるものとがある.後者の原因としてバソプレシン V2受容体やアクアポリンの遺伝子異常が報告されている.いずれの場合も外因性バソプレシン(ピトレシン®もしくはデスモプレシン負荷)による尿浸透圧の上昇がみられない
●低値
[可能性]バソプレシン
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