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検査

甲状腺刺激抗体〔TSAb〕《TSH刺激性レセプター抗体》   340点
thyroid stimulating antibody
高松 順太
(高松内科クリニック院長)

基準値 120%未満


測定法 バイオアッセイEIA法(ブタ甲状腺遊離細胞を用いる)


検体量 血清1mL


日数 3~14日


目的 ①Basedow病の診断,②悪性眼球突出症の診断と予後判定


Decision Level

●500%以上(高度増加)

[高頻度]Basedow病の重症型,T3優位型Basedow病 [可能性]euthyroid Graves病(内分泌性眼球突出症),腺腫様甲状腺腫を伴うBasedow病 [対策]抗甲状腺薬で寛解まで導きにくいことが予想される

●120~500%(軽度~中等度増加)

[高頻度]Basedow病 [可能性]euthyroid Graves病(内分泌性眼球突出症) [対策]抗甲状腺薬で寛解に導けるよう治療を開始する

●120%未満(基準値)

[可能性]単純性甲状腺腫,慢性甲状腺炎(橋本病),亜急性甲状腺炎,無痛性甲状腺炎,Basedow病の寛解期,甲状腺癌,甲状腺良性腺腫,甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生下垂体腺腫,医原性甲状腺中毒症,甲状腺ホルモン不応症,腺腫様甲状腺腫 [対策]さらにTSHレセプター抗体(TRAb)を測定してBasedow病の有無を診断する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 TRAb測定がラジオレセプターアッセイであるのに対し,本法では培養甲状腺細胞のcAMP産生量を測定するアッセイ系であるため,特異性が高く甲状腺刺激活性を示しているといえる.未治療のBasedow病の92%で陽性となって示される.

 本検査とTRAbを比べ,どちらが信頼性が高く有用であるかは,決定されていない.本抗体とTRAb(TBII)は異なったIgGではないかという推測が,基礎的研究と臨床的研究の両方からだされている.

 本法が高値になる疾患は,Basedow病による甲状腺機能亢進症の他,正常甲状腺機能だが,眼球突出症状のみが前面に現れるeuthyroid Graves病

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