診療支援
検査

プレグナンジオール〔P2〕   213点(包)
pregnanediol
飯高 誠
(医療法人社団甲誠会飯髙医院理事長)
片山 茂裕
(埼玉医科大学かわごえクリニック客員教授)

基準値

●非妊婦

・卵胞期:0.28~1.42mg/日

・黄体期:0.79~6.83mg/日

●妊婦

・前期:1.29~6.08mg/日

・中期:3.05~24.22mg/日

・後期:9.1~60.51mg/日

●男性 0.16~0.79mg/日


測定法 GC-MS法


検体量 尿12mL


日数 6~7日


目的 性腺,胎盤,副腎機能の評価


Decision Level

●低値(非妊娠時)

[可能性]卵巣機能低下症,黄体機能不全,下垂体機能低下症,Addison病 [対策]LH/FSH,ACTH測定や各種下垂体負荷試験.血中エストラジオール(E2),プロゲステロン(P4)測定.ホルモン補充療法

●低値(妊娠時)

[可能性]胎盤機能不全症(妊娠高血圧症候群,子宮内胎児発育遅延) [対策]血中P4,HCG測定.超音波断層法による診断.産科的治療

●高値

[高頻度]妊娠 [可能性]先天性副腎皮質過形成,副腎性器症候群,Cushing症候群,副腎癌,精巣(睾丸)間質細胞腫,本態性高血圧 [対策]性腺,副腎機能の精査と原因疾患の治療


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 黄体で作られたP4は肝臓にて還元され,約65%が5β-プレグナン-3α,20α-ジオールとなる.これを通称プレグナンジオール(P2)といい,さらに3位にグルクロン酸が抱合して5β-プレグナン-3α,20α-ジオール-3-グルクロニドとして尿に排泄される.すなわち尿中P2は,血中P4値を反映しており,月経周期の黄体期におけるP4産生能を示し,妊娠中は胎盤機能を表す.妊娠中には尿中P2は高値となり,黄体機能不全や胎盤機能不全の際には尿中P2は低値となる.また,P2は副腎や精巣(睾丸)で産生されるP4の代謝物としても存在するので,男性および小児でも存在し,Addison病や下垂体機能低下症にて尿中P2が低下し,各種酵素欠損による先天性副腎皮質過形成の際には高値となる.

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?