ヒト胎盤性ラクトゲン〔HPL〕　　保 136点(包)

human placental lactogen

飯高　誠

（医療法人社団甲誠会飯髙医院理事長）

片山　茂裕

（埼玉医科大学かわごえクリニック客員教授）

基準値

●妊娠

・～8週：0.075μg/mL以下

・9～12週：0.393μg/mL以下

・13～16週：0.664～1.378μg/mL

・17～20週：1.770～2.632μg/mL

・21～24週：2.504～3.226μg/mL

・25～28週：3.654～5.468μg/mL

・29～32週：5.058～6.500μg/mL

・33～36週：6.798～9.817μg/mL

・37週～：5.495～8.611μg/mL

測定法　ラテックス凝集法

検体量　血清0.5mL

日数　2～3日

目的　胎盤機能の評価

Decision Level

●高値

[可能性]多胎妊娠，Rh不適合妊娠，高度の肝疾患，腎疾患合併妊娠　[対策]超音波断層法などによる産科的診断と治療

●低値(妊娠前期)

[可能性]切迫流産，異所性妊娠，胞状奇胎，絨毛上皮癌　[対策]ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)測定や画像診断．産婦人科的治療

●低値(妊娠後期)

[可能性]切迫流産，胎盤機能不全，子宮内胎児発育遅延，妊娠高血圧症候群，予定日超過妊娠，糖尿病合併妊娠，甲状腺機能異常合併妊娠，全身性エリテマトーデス(SLE)合併妊娠，心血管系異常妊娠　[対策]血中エストラジオール，エストリオール，プロゲステロン測定や画像診断．産婦人科的治療

異常値のでるメカニズムと臨床的意義

　HPLは，絨毛の合胞細胞より産生・分泌される分子量22,279の糖鎖を含まない単純蛋白質で，構成アミノ酸の96％がヒト成長ホルモン(HGH)と，67％がヒトプロラクチン(hPRL)と一致する．HPLの生理作用は，母体脂肪組織に働いて脂質分解を促進し，母体血中に遊離脂肪酸(FFA)やグリセロールの放出を増加させることである．これにより，脂質を母体のエネルギー源とし，末梢でのグルコース利用を抑制し，余剰となったグルコースを胎児に転送して胎児の発育を促す．また脂肪分解にて生じたケト

初出:臨床検査データブック 2023-2024 発行:2023年1月

収載:医学書院 医療情報サービス（2024年5月17日　掲-ID：ken_05009-23_a007b002c006z0010）