診療支援
検査

プロインスリン〔IRP〕
immunoreactive proinsulin
大原 毅
(兵庫県立はりま姫路総合医療センター副院長・糖尿病・内分泌内科部長)

基準値

●空腹時血中プロインスリン値

・ゲル濾過法:0.05~0.4ng/mL

・direct proinsulin RIA:0.08±0.05ng/mL

・インスリン分解酵素法:0.24±0.02ng/mL


測定法 ゲル濾過法,direct proinsulin RIA,インスリン分解酵素法


検体量 ゲル濾過法は血清10mL,その他は血清2~3mL


日数 研究室レベルの検査であり,外注の日数は不定


目的 ①インスリノーマの診断,②家族性高プロインスリン血症の発見


Decision Level

●測定感度以下(高度減少)

[高頻度]1型糖尿病 [可能性]2型糖尿病のSU薬二次無効例 [対策]インスリン治療を行う

●0.4~0.8ng/mL(軽度増加)

[高頻度]2型糖尿病,境界型耐糖能異常症(IGT)例 [可能性]高度肝障害,慢性腎不全 [対策]75gOGTTによる糖尿病,またはIGTの診断(IRIを同時に測定する).原疾患の検索

●0.8ng/mL以上(高度増加)

[高頻度]インスリン抗体のある糖尿病疾患 [可能性]インスリノーマ,家族性高プロインスリン血症,インスリン自己免疫症候群 [対策]血中IRIの同時測定,インスリン抗体の検索,膵腫瘍の有無,家族のIRP測定


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 膵β細胞で合成されるプロインスリンは,その前駆体であるプレプロインスリンが細胞内小胞体膜を通過するときに分解されて生成される.さらにプロインスリンはゴルジ装置でインスリンとC-ペプチド(CPR)に分解される.家族性高プロインスリン血症はこのプロインスリンからインスリンへの分解過程に遺伝的な異常があり,中間型プロインスリンが血中に増加するきわめてまれな疾患である.

 プロインスリンはその分子内にインスリン(IRI)とCPRを有しているため,IRIもCPRも一般にはプロインスリンそのものも含めて測定していること

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