診療支援
検査

抗IA-2抗体《抗ICA512抗体》   213点(包)
anti-insulinoma-associated protein-2 antibody《anti-islet cell antibody 512》
大原 毅
(兵庫県立はりま姫路総合医療センター副院長・糖尿病・内分泌内科部長)

基準値 1.0U/mL未満


測定法 EIA法


検体量 血清0.2mL


日数 7~14日


目的 1型糖尿病の診断


Decision Level

●陽性(1.0U/mL以上)

[高頻度]1型糖尿病 [対策]血糖,ケトン体,HbA1cなど糖代謝異常の程度を判定する.血中・尿中C-ペプチド測定などによる内因性インスリン分泌能を判定する.抗膵島細胞質抗体(ICA),抗GAD抗体,インスリン自己抗体(IAA)などその他の主要な膵島関連自己抗体を測定する.主要組織適合抗原(HLA)を検索することにより,1型糖尿病の疾患感受性を判定する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 insulinoma-associated antigen-2(IA-2)はICA陽性患者血清と膵島のcDNAライブラリーを用いた発現クローニング法によって,ICAの対応抗原の1つとしてクローニングされた蛋白である.979個のアミノ酸からなるこの糖蛋白は膵島の分泌顆粒膜に存在し,受容体型チロシンホスファターゼ構造を有している.

 抗IA-2抗体はこの蛋白に対する自己抗体であり,その認識する主なエピトープは,IA-2のアミノ酸762~887番,および949~979番のC末端のアミノ酸で形成する立体構造にあると考えられている.1型糖尿病患者の血清はICA512と呼ばれる蛋白とも反応するが,この蛋白はIA-2のN端側388個のアミノ酸とC端側65個のアミノ酸が欠けたペプチドであることが判明し,抗ICA512抗体と抗IA-2抗体は同一であることがわかり,抗ICA512/IA-2抗体とも呼ばれる.

●臨床的意義

 若年発症の1型糖尿病患者では発症早期には70~80%で陽性となるが,発症年齢が高い患者では陽性率は低く,26歳以上では発症早期でも20%前後と低率であると報告されている.また,罹病期間との関係では,1型糖尿病発症後,比較的早期に消失すると考え

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