診療支援
検査

ピルビン酸《有機モノカルボン酸》   47点
pyruvic acid《organic mono carbonic acid》
長谷川 裕
(はせがわ内科クリニック院長)

基準値 0.3~0.9mg/dL


測定法 酵素法


検体量 除蛋白液0.4mL


日数 2~4日


目的 乳酸アシドーシスの診断および治療の指標


Decision Level

●高値(上昇)

[高頻度・可能性]循環不全,肝障害,尿毒症,糖尿病,ビタミンB1欠乏症,糖原病Ⅰ型,フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ欠損症,乳酸脱水素酵素(LDH,M型)欠損症,ミトコンドリア異常症(ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症,ピルビン酸脱水素酵素欠損症,Luft病,ミトコンドリア脳筋症,呼吸鎖異常,その他),重金属中毒,プロピオン酸尿症,メチルマロン酸尿症,薬剤・毒物 [対策]原疾患の診断と治療

●低値(低下)

[高頻度・可能性]筋型糖原病(Ⅴ型,Ⅶ型) [対策]原疾患の診断と治療


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 ピルビン酸は,糖,アミノ酸,脂肪酸代謝のすべてに関与し,その血中濃度は,栄養素の摂取量,生成・利用の酵素活性,組織の酸素分圧などの総和として決定される.したがって,組織の酸素分圧の状態,酵素活性の低下の有無などがわかる.

 酸塩基平衡の異常,アシドーシスが考えられるとき,その予後判定に重要である.

 さらに,筋疾患,脳筋症,脊髄小脳変性症の一部などの原因として糖原病,ミトコンドリア異常症を考えるとき,負荷試験やDNA解析にて鑑別診断を行う.


[関連する検査]

 解糖系代謝経路の最終産物として嫌気的にピルビン酸から産生される乳酸とともに測定されることが多く,組織循環不全の指標,組織酸化還元状態の推定,代謝性アシドーシス,先天性代謝異常症,ミトコンドリアDNA異常症などの精査に利用される.


判読

①生後数日間上昇.②年齢差はほとんどない.③男女差はない.④運動後上昇し,1~2時間後戻る.⑤食後1~2時間でピーク(20~50%増)に達し,3~4時間で戻る.⑥日内変動は明瞭でない.⑦冬にやや低く,夏は高いともいわれる

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