診療支援
検査

ガラクトース〔Gal〕   130点
galactose
永田 正男
(ふくやま病院内科)

基準値

・全血:4.3mg/dL未満

・尿:0~13mg/dL


測定法 ガラクトースデヒドロゲナーゼ法


検体量 全血1mL


日数 3~7日


目的 先天性ガラクトース血症のスクリーニング


NOTE‍ 保険点数:新生児マススクリーニングは保険適用があるが,肝疾患にはない


Decision Level

■新生児,小児期のガラクトース血症

●全血8.0mg/dL以上(増加)

[高頻度]ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ異常症,ガラクトキナーゼ異常症,UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ欠損症 [可能性]肝疾患,門脈異常(門脈の先天的欠損,門脈左腎静脈短絡,肝血管腫による門脈管静脈短絡) [対策]赤血球酵素の測定

■成人のガラクトース血症

●全血4.3mg/dL以上(増加)

[高頻度・可能性]肝疾患(肝硬変,急性肝炎) [対策]原疾患の検査を進める


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 ガラクトースは,乳糖が腸でガラクトースとグルコースに加水分解されて吸収される.血中ガラクトースは肝臓にてガラクトキナーゼ,ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼなどの酵素によって解糖系にまで代謝される.遺伝性にこれらの酵素欠損症が認められる患児では,血中ガラクトースが上昇する.診断には,赤血球中の酵素活性を測定する.新生児マススクリーニングで陽性となる①胆汁うっ滞をきたす疾患,②門脈-体循環シャント,③シトリン欠損症,④Fanconi-Bickel症候群,G6PD欠損症など鑑別を要する.

 肝障害時にはガラクトース代謝が低下し,また門脈-大静脈シャントができるため,血中ガラクトースが増加するので肝機能検査としても測定される.


[感度・特異度]

 新生児スクリーニングに用いられているキットの感度の多くは0.2~20mg/dLである.


[見逃してはならない異常値]

 新生児スクリーニングで20mg/dL以上の場合,

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?