基準値 19.9~52.9pg/mL
測定法 CLEIA
検体量 血清0.4~0.5mL
日数 2~6日
目的 慢性低P血症患者の病因の鑑別
Decision Level
FGF23の測定は,慢性の低P血症が存在する場合に行う.慢性低P血症の存在下でFGF23が30pg/mL以上の値を示す場合は,過剰なFGF23活性によるFGF23関連低P血症性疾患(表96図)と考えられる
●高値
[高頻度]FGF23関連低P血症性疾患,慢性腎臓病,一部の高P血症性腫瘍状石灰沈着症 [対策]腫瘍性骨軟化症は,原因腫瘍の完全摘除により治癒しうる.薬物性の場合には,原因薬剤の中止により低P血症は改善する.遺伝性のFGF23関連低P血症性疾患,あるいは原因腫瘍の完全摘除ができない腫瘍性骨軟化症に対しては,P製剤と活性型ビタミンD製剤の併用,あるいは抗FGF23抗体であるブロスマブを使用する [対策]病因に応じて低P血症の治療を行う
●低値
[高頻度]ビタミンD欠乏,Fanconi症候群などの,過剰なFGF23活性以外の原因による慢性低P血症,一部の高P血症性腫瘍状石灰沈着症
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
FGF23は,生理的には骨芽細胞や骨細胞により産生され,血中P濃度を低下させるホルモンである.FGF23は,腎臓近位尿細管P再吸収を抑制するとともに,1,25-水酸化ビタミンD濃度の低下を介して腸管P吸収も抑制する.逆に高P血症はFGF23産生を促進し,ビタミンD欠乏などによる慢性低P血症ではFGF23は低値となる.
過剰なFGF23活性による慢性低P血症から,骨石灰化障害が惹起される疾患群を,FGF23関連低P血症性くる病・骨軟化症と呼んでいる.くる病と骨軟化症は,同一の病因により惹起される.このうち,成長軟骨帯閉鎖以前に発症し,成長障害や下肢変形などを主徴とする疾患がくる病,成長軟骨帯閉鎖後の成人に発症し
関連リンク
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