基準値 10~43pg/mL
測定法 CLEIA
検体量 血漿0.5mL
日数 2~3日
目的 体液量の評価
Decision Level
●10pg/mL以下(低下)
[高頻度・可能性]体液量減少,脱水,出血,尿崩症,副腎不全 [対策]原疾患の診断と治療
●44~300pg/mL(増加)
[高頻度・可能性]軽度のうっ血性心不全,慢性腎不全,本態性高血圧症(特に低レニン性高血圧症),発作性頻拍症,ネフローゼ症候群,肝硬変,妊娠高血圧症候群,甲状腺機能亢進症,原発性アルドステロン症,Cushing症候群,SIADH,体液量増加,輸液過剰 [対策]原疾患の診断と治療
●300pg/mL以上(高度増加)
[高頻度・可能性]重度のうっ血性心不全,体液量増加,輸液過剰 [対策]原疾患の診断と治療
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ANPは,強力な利尿,Na利尿作用および血管平滑筋弛緩作用を有し,主に心房において心房筋の伸展により合成・分泌が刺激される.したがって血漿ANP濃度は臨床的には心房圧や体液量の変化をきたす疾患,すなわち心不全,腎不全,高血圧症などで上昇し,治療による病態の改善により低下する.特に,維持透析中の慢性腎不全では,透析終了時体重の設定の参考になる.さらに,心肥大に伴い,心室でもANP生合成が亢進し,血漿ANP濃度が上昇する.重症心不全ではその重症度に比例して血漿ANP濃度は上昇し,NYHA分類クラスⅢ以上の重症例になると900pg/mL以上の著増例も少なくない.これらの病態における血漿ANP濃度は病態の重症度の診断や臨床経過の把握,治療効果の判定の手段として有用である.
判読
①血漿ANP濃度は採血時の種々の因子(安静状態,姿勢,食塩摂取量,体液量に影響する薬剤など)や検体の処理(4℃にて速やかに遠心分離し,血漿の凍結保存が必要)が影響する.予想外の値が得られた場合,これらの要因の影響を考
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