基準値 18.4pg/mL以下
測定法 CLEIA
検体量 血漿0.5mL
日数 20分
目的 ①心不全の評価,②心肥大,心筋障害のきわめて鋭敏な指標
Decision Level
●18.4~100pg/mL(増加)
[高頻度・可能性]うっ血性心不全(NYHA分類クラスⅠ,Ⅱ),高血圧症,慢性腎不全,心筋症,心肥大 [対策]原疾患の診断と治療
●100pg/mL以上(高度増加)
[高頻度・可能性]うっ血性心不全(NYHA分類クラスⅢ,Ⅳ),急性心筋梗塞 [対策]原疾患の診断と治療
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
BNPは,主に心室で生合成され,心室負荷や心筋肥大,心筋虚血により分泌が亢進する.したがって,血漿BNP濃度は臨床的には心不全,腎不全,高血圧,心肥大や急性心筋梗塞などで上昇し,治療による病態の改善により低下する.特に,重症心不全(NYHA分類クラスⅢ以上)では基準値の数百~1,000倍に達し,血漿ANP濃度を上回る.また,急性心筋梗塞例では発症直後から急激に上昇し,24時間以内にピークに達する.
[感度・特異度]
図65図参照のこと.
判読
①血漿BNP濃度は採血時の種々の因子(安静状態,姿勢,食塩摂取量,体液量に影響する薬剤など)や検体の処理(4℃にて速やかに遠心分離し,血漿の凍結保存が必要)が影響する.予想外の値が得られた場合,これらの要因の影響を考慮して再検査し,異常値の再現性を確認する.②血漿の凍結融解の反復はペプチド分解のため低値となることがある.③検体の溶血により低値となる.
採取保存
①早朝空腹絶飲食時,30分間の安静臥位にて採血.②血液はEDTAアプロチニン入りのチューブに入れ,冷却遠心後血漿を凍結保存.
薬剤影響
アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)の治療中,機序的には内因性Na利尿ペプチドが増加すると考えられている.ARNI治療のBNPへの影響に関して
関連リンク
- 今日の治療指針2023年版/ビルダグリプチン・メトホルミン塩酸塩
- 臨床検査データブック 2023-2024/遊離脂肪酸〔FFA〕 [小][保] 59点
- 今日の治療指針2023年版/炭酸脱水酵素阻害薬
- 臨床検査データブック 2023-2024/ICG試験(インドシアニングリーン試験) [保] 100点
- 今日の治療指針2023年版/利尿薬
- 臨床検査データブック 2023-2024/ピルビン酸《有機モノカルボン酸》 [保] 47点
- 今日の治療指針2023年版/選択的アルドステロンブロッカー
- 臨床検査データブック 2023-2024/心房性ナトリウム利尿ペプチド〔ANP〕 [保] 221点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント〔NT-proBNP〕 [パニ][保] 136点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/心不全治療薬
- 臨床検査データブック 2023-2024/解毒薬・中毒治療薬
- 新臨床内科学 第10版/(1)高フェニルアラニン血症