診療支援
検査

血液RI検査
radioisotope study
神田 善伸
(自治医科大学教授・内科学講座血液学部門)

基準値

・血漿鉄消失半減時間(PIDまたはPIDT1/2):60~120分

・血漿鉄交代率(PIT):26~30mg/日

・赤血球鉄利用率(RCU):80~90%

・赤血球鉄交代率(RCIT):15~30mg/日

・赤血球寿命:25~40日(T1/2)

・循環赤血球量:29.7±0.6mL/kg


測定法

・PID,PIT,RCU,RCIT:59Fe法

・赤血球寿命,循環赤血球量:51Cr法


検体量 各回全血2mL


日数 2~3日


目的 貧血,多血症の鑑別診断(現在はほとんど用いられていない)


Decision Level

■血漿鉄消失半減期(PID,PIDT1/2)

 骨髄で赤芽球がヘム合成のため鉄を取り込む速さを表す

●PID短縮(赤血球造血能の亢進,無効造血も含む)

[高頻度]鉄欠乏性貧血,溶血性貧血,出血性貧血,多血症,各種貧血の回復期

●PID延長(赤血球造血能の低下)

[高頻度]再生不良性貧血,赤芽球癆

■血漿鉄交代率(PIT)

 1日に交換される鉄量を表す

●PIT上昇(赤血球造血能の亢進,無効造血も含む)

 PID短縮とほぼ同意義

●PIT低下(赤血球造血能の低下)

 PID延長とほぼ同意義

■赤血球鉄利用率(RCU)

 投与された放射性鉄のうち有効に赤血球に取り込まれた割合を表す

●RCU増大

[高頻度]鉄欠乏性貧血

●RCU減少

●PID延長

[高頻度・可能性]造血能の低下(再生不良性貧血)

●PID短縮

[高頻度・可能性]無効造血(悪性貧血,MDSなど),溶血性貧血

■赤血球鉄交代率(RCIT)

 赤血球に利用されている鉄の量をPITとRCUから算出したもの

●RCIT増大

[高頻度・可能性]鉄欠乏性貧血

●RCIT減少

[高頻度・可能性]溶血性貧血

■赤血球寿命

 患者赤血球を51Crで標識し,それを静注後,経時的に採血し,経過をみる.1日目を100%とし,50%となった時点をT1/2として赤血球寿命とする

●高度~中等度短縮

[高頻度]

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