基準値 80~120%
測定法 合成基質法
検体量 血漿0.4mL(クエン酸加)
日数 2~4日
目的 ①線溶亢進の病態把握,②出血傾向の原因検索
Decision Level
●50~80%(低下)
[高頻度]DIC,肝硬変,ネフローゼ症候群,ウロキナーゼ投与 [可能性]白血病(急性前骨髄球性白血病),前立腺癌,α2-PI欠乏症(ヘテロ),組織プラスミノゲンアクチベータ(t-PA)投与,バトロキソビン投与 [対策]プラスミノゲン,プラスミンα2-プラスミンインヒビター複合体(PPIC),Dダイマー,フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)の測定
●50%未満(高度低下)
[高頻度]線溶亢進型DIC,非代償性肝硬変,劇症肝炎,急性前骨髄球性白血病 [可能性]α2-PI欠乏症(ホモ),L-アスパラギナーゼ投与 [対策]プラスミノゲン(Plg),PPIC,Dダイマー,FDP,血小板の測定,原疾患の治療,抗線溶薬投与の考慮
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
α2-PIは主に肝で合成され分子量約65,000で血中濃度は約60μg/mLであり,血中半減期は2~3日である.遺伝子は第17染色体にある.α2-PIの発現は肝臓以外に,腎臓,脾臓,皮膚,脳などにも認められている.
Plgからt-PAにより活性化されて生じたプラスミンは,フィブリン血栓に加え,フィブリノゲン,第Ⅴ,Ⅷ因子も分解する.α2-PIはセリンプロテアーゼインヒビター(SERPIN)の一種で,このプラスミンの作用が過剰にならないように調節する主要な制御因子である.
α2-PI分子はN末端部分にあるフィブリンへの「架橋結合部位」,プラスミンと非可逆的に結合する「Arg376」,Plgやプラスミン(リジン結合部位)と可逆的に結合しやすい「C末端部リジン残基」からなっている.
α2-PIはプラスミンの活性中心に結合し,1対1の複合体を形成
関連リンク
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- 臨床検査データブック 2023-2024/プラスミノゲンアクチベータインヒビター-1〔PAI-1〕 [保] 240点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/プラスミノゲン〔Plg〕 [保] 100点
- 臨床検査データブック 2023-2024/プラスミン・α2-プラスミンインヒビター複合体〔PPIC,PIC〕 [保] 154点(包)
- 新臨床内科学 第10版/(1)家族性低βリポ蛋白血症