診療支援
検査

血小板機能検査 血小板放出能
platelet release reaction
尾崎 由基男
(笛吹中央病院院長)

基準値

●ルシフェラーゼ法 コラーゲン,トロンビンなどを用い血小板を強力に刺激すると血小板内顆粒中のATPの20~30%,ADPの60~80%が放出される

●セロトニン法 強力な刺激により70~95%のセロトニンが放出されるが,ADP,アドレナリンの二次凝集では30~50%程度のセロトニンが放出されるのみ


測定法 ルシフェラーゼ法,セロトニン法


検体量 3.8%クエン酸ナトリウム1容と全血9容,採血約10mL


日数 当日


目的 ①血小板機能の評価,②抗血小板薬のモニタリング


Decision Level

●放出能低下

[高頻度・可能性]放出機構異常症〔先天性トロンボキサンA2(TXA2)産生障害,非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)などの服用,慢性骨髄増殖性症候群,尿毒症〕,貯蔵プール欠乏症〔Hermansky-Pudlak症候群,gray platelet(灰色血小板)症候群〕 [対策]その他の血小板機能の解析,電顕的検討


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 血小板活性化物質は,細胞内Ca,プロテインキナーゼC,TXA2などの細胞内活性化信号を惹起させ,これらによりミオシンを含む骨格蛋白が収縮する.この結果,細胞内顆粒の内容物であるATP,ADP,セロトニンなどが開放小管系を経て血小板外に放出される.そこで,これらのいずれかの経路に異常があると,血小板放出能が低下する.特にTXA2合成経路の異常や,顆粒内内容の欠如を示す貯蔵プール欠乏症などがよくみられる.


判読

①放出物質の濃度は2~3種類を用いて検討することが必要.②セロトニンによる放出能を測定するときは,放出されたセロトニンが再び細胞に取り込まれないようイミプラミンを用いることが必要.イミプラミンを用いないとセロトニンの放出量が見かけ上,低下する可能性もある.③ルシフェラーゼ法によるATP放出能の測定は,半定量の域をでない.異常の確認に

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